語学留学を考えている人に、よく聞かれることがあります。
「英語、どうしても必要ですか?」
「仕事でも使わないし、別に今すぐじゃなくてもいいかな、と思って。」
その気持ち、すごくわかります。私自身も長い間そう思っていた一人でした。
でも、ある夜のことが、私の考えを完全に変えました。
パーティーで出会ったロシア人の友達
1998年、私は英語がまったくできないまま、カナダのオタワに住んでいました。
ワーキングホリデービザで渡航し、日本食レストランのキッチンで働く毎日。英語なんてほとんど話せないまま、日本人の友人たちと過ごしていました。
そんなある日、友人に誘われて参加したパーティーで、マークという同年代のロシア系カナダ人と知り合いました。
マークは7歳の頃に家族でカナダに移民してきた人で、最初は言葉も文化もわからずかなり苦労したと話してくれました。パーティーで一人ぼっちになっていた私を見て、自分から声をかけてきてくれたのです。
それからマークとは、コーヒーを飲みに行ったり、ビリヤードをしたり、バーで飲んだり。カタコトの英語でも、少しずつ仲良くなっていきました。
恋愛の悩みを話したり、仕事のことを話したり。お互いの好きな音楽や映画の話もしました。言葉は拙くても、なんとか通じ合える感覚がありました。
ある夜、私は何も言えなかった
マークには、ずっと好意を寄せている女の子がいました。
私も紹介してもらったことがあり、確かに素敵な女性でした。マークはいつも彼女の話をするときに少し照れながら、でも嬉しそうに話していました。
そしてある日、マークからその子に告白したという連絡が来ました。
返事は、NOだったそうです。
マークは珍しく元気がなく、静かでした。私は会いに行きました。
何か言いたかった。
「大丈夫だよ」でも、「次があるよ」でも、「つらいよな」でも。友達として、人として、何か伝えたかった。
でも、言葉が出てきませんでした。
英語で「大丈夫」ってなんて言うんだっけ。「つらいよな」ってどう伝えるんだっけ。焦れば焦るほど、頭が真っ白になっていきました。
しばらく沈黙が続いたあと、マークが先に口を開きました。
「Michi, I know what you want to tell me. Thank you.」
逆に気を遣わせてしまいました。
友達として、情けない、と思いました。
「いつか」が「今」に変わった
その夜から、英語が頭から離れなくなりました。
それまでの私にとって英語は「あったら便利なもの」でした。仕事のため、キャリアのため、資格のため——そういう話はよく聞いていたけれど、自分ごととして感じたことはありませんでした。
でもマークとのあの夜、初めて「英語ができないと、大切な人に何も言えない」という現実を、体で感じました。
語学留学を「いつかしたい」と思い続けていた私が、「今すぐしなければ」と思い直したのは、この経験があったからです。
それから6年後。28歳で仕事を辞め、妻と二人でハリファックスへ語学留学しました。
語学留学の動機は「資格」より「感情」の方が強い
語学学校で勉強を始めて気づいたことがあります。
英語が上達する人と、なかなか上達しない人の違いは、才能でも年齢でもない。「なぜ英語を話せるようになりたいのか」という動機の強さだということです。
TOEICの点数を上げたい、就職に有利にしたい——それも立派な動機です。でも、それだけでは留学中の孤独な夜や、うまく伝わらない悔しさを乗り越えるには、少し弱いことがある。
「あの時マークに何も言えなかった」という悔しさは、私が英語を学び続けるための、誰にも奪えない動機でした。
あなたにも、きっとそういう瞬間があるはずです。
言いたいことが言えなかった経験。伝わらなかった悔しさ。もし英語が話せたら、あの時違う選択ができたかもしれない、という記憶。
それが、語学留学の本当の出発点になります。
「いつか」を「今」に変えるために
語学留学は、準備が整ってから行くものではありません。
私は英語ゼロでカナダへ飛び込みました。完璧な準備なんてありませんでした。でも、あの一歩があったから今があります。
カナダで出会った語学学校の先生がよく言っていました。
The only person stopping you is YOU.
あなたを止めているのは、あなただけよ。
語学留学について、何か気になることがあれば、まず気軽にお声掛けください。費用のこと、都市の選び方、英語力が足りるかどうか——どんな小さな疑問でも構いません。
カナダ在住の私が、直接お答えします。

